シンク・カウンターステンレスとは、鉄(Fe)にクロム(Cr)を10.5%以上含有させた合金で、炭素(C)が1.2%以下のものの総称です。特長はきわめてさびにくい素材ということです。クロム(Cr)のほかに、さらにニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)などを添加して、さびにくさをもっと改善したり、様々な形に加工できる性質などを付与した多種多様な鋼種があります。キッチンでは主にSUS304(18Cr-8Ni)やSUS430(18Cr)の種類の鋼種を使用しています。ステンレスの最大の特長である“さびにくい”性質は、クロムによって作られる表面の特殊なバリアーによるもので、そのバリアーは「不動態皮膜」と呼ばれています。「不動態皮膜」は、クロムと大気中等の酸素との反応によって作られるもので、1〜3ナノメートルという非常に薄い皮膜です。結晶構造を持たないガラスのようなもので、非常に緻密で安定しています。不動態皮膜の最大の特徴は、なんといっても「自己修復機能」を持っている点です。加工中や使用中に不動態皮膜が破れても、鋼中のクロムと大気中等の酸素とが反応して同じ皮膜を“瞬時に”再生します。この再生に時間がかかれば、酸化(さび)が進行してしまいますので、この「瞬時に再生」というのは重要なポイントです。また、クロムは鋼中から供給されるため、自己修復機能は何度でも繰り返し発揮されます。その効果はほぼ無限といっても良いくらい長時間安定して発揮されることも大きな特徴です。最後に、ステンレスは絶対にさびないわけではありません。特に海水等に含まれる「塩素」は大敵です。塩素によって不動態皮膜が破られ、自己修復が間に合わずに局部的に浸食されてさびていく(これを孔食と言います)場合があります。参考資料:ステンレスって面白い(新日鐵住金ステンレス) ステンレスの主な表面仕上げ(ステンレス協会)名称BAHL(ヘアライン)バイブレーションエンボスステンレスは、品位を低下させることなく、ほぼ100%のリサイクルが可能です。当社が製造・販売しているステンレスシンクトップも使用しているステンレスを回収して再びステンレスとして再利用することも可能、ということです。ステンレスは環境にとても優しい素材なのです。表面仕上げの状態光沢のある表面仕上げ。冷間圧延後、光輝焼鈍(無酸化焼鈍)を行ったもの。長く連続した研磨目を持った仕上げ。通常P150〜P240番の砥粒研磨ベルトで長い研磨目をつけたもの。無方向性研磨仕上げで、マットな印象で高級感がある。多軸水平研磨により、無方向に研磨目をつけたもの。凹凸の浮出し模様のついた仕上げ。キズが目立ちにくい特長。エッチングまたは機械的に模様を彫り込んだエンボス用ロールで圧延したもの。表面仕上げの方法19シンク・カウンター 【メンテナンス情報】ステンレスってどのような材料ですか?ステンレスってなぜさびにくいの?絶対にさびないの?ステンレスはリサイクルされますか?ステンレスの表面仕上げは主にどんなものがあるの?ステンレスを加工したら磁石につくようになりました。どうしてですか?最も一般的なステンレスのSUS304(18%クロム、8%ニッケル)は、通常の素材状態では磁石につきませんが、プレス加工などして、大きく変形させた部分では磁石につくようになります。これはステンレスの金属組織(結晶構造)が加工によって変化したためです(加工歪によるマルテンサイト変態)。ステンレスの種類(鋼種)によっては、大きく変形させた加工部でも磁石につかないものもあり、目的によって鋼種を選定することができます。なお、加工によって磁石につくようになっても、成分には変化がありませんので、耐食性はかわりません。Q1■Q2■Q3■Q4Q5■ステンレス Q&A
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